GRS・RCSとは — 再生材の「含有」と「追跡」を第三者が保証する国際基準
GRS(Global Recycled Standard=グローバル・リサイクル・スタンダード)とRCS(Recycled Claim Standard=リサイクルド・クレーム・スタンダード)は、国際的なNPOであるTextile Exchange(テキスタイル・エクスチェンジ)が管理・運用する、再生材(リサイクル材)に関する国際基準です。製品にどれだけ再生材が含まれているかを検証し、その原料が調達から最終製品まで正しく追跡・管理されていることを、第三者機関の審査によって保証します。「再生材を使っている」という主張を、客観的な裏付けとともに示すための枠組みです。
GRSとRCSの違い — 含有率と対象範囲
両者はいずれも再生材を扱う基準ですが、対象とする範囲と厳しさが異なります。
- RCS(リサイクル含有の証明):再生材が5%以上含まれることを追跡・証明することに主眼を置いた基準。含有と追跡に絞られており、比較的シンプルに再生材使用を裏付けられます。
- GRS(含有+環境・社会要件):再生材50%以上を基本としつつ、化学物質の使用制限、水・エネルギー使用の管理といった環境面、そして労働環境などの社会面の要件も加わる、より包括的で厳格な基準。
つまり、まず「再生材が含まれていること」を示したいならRCS、「再生材を多く含み、製造工程の環境・社会配慮まで含めて示したい」ならGRSという整理になります。
再生材使用の「裏付け」はどう成り立つか — CCSという土台
GRS・RCSはともに、Content Claim Standard(CCS)と呼ばれるトレーサビリティ(Chain of Custody=加工・流通の連鎖管理)の仕組みを共通の土台としています。原料の投入から加工、最終製品に至るまで、認証された再生材が非再生材と混ざらないように識別・記録・管理されているかを各段階で確認する仕組みです。この連鎖が途切れないことによって、「この製品に含まれる再生材は本物である」という主張が成り立ちます。数値の自己申告ではなく、記録と第三者確認によって裏付けられる点が、これらの基準の要です。
なぜ包装で再生材の基準が意味を持つのか
包装は消費者や取引先の目に最も触れる部分であり、環境配慮の姿勢を伝える最前線です。「再生プラスチックを使用」「再生材○○%配合」といった訴求は増えていますが、根拠が示されなければグリーンウォッシュ(実態を伴わない環境訴求)を疑われるリスクがあります。GRS・RCSのような第三者基準は、含有率とトレーサビリティに客観的な裏付けを与え、B2B調達や環境情報の開示要請に対して説明可能な形で応える助けになります。もともと繊維分野で広がった基準ですが、対象は繊維に限らず、再生材を含む幅広い製品・包装材で参照が広がっています。
GRS・RCSの特徴の整理
| 管理団体 | Textile Exchange(国際NPO) |
|---|---|
| 最低再生材含有率 | RCS:5%以上/GRS:50%以上(いずれも目安) |
| 追加要件 | RCS:含有・追跡が中心/GRS:化学物質・環境・社会の要件を追加 |
| 共通の土台 | Content Claim Standard(CCS)によるトレーサビリティ |
| 確認方法 | 第三者機関による審査・検証 |
※含有率や要件は基準の改定・版により変わり得ます。取得・表示の前に、必ず最新の基準文書と認証機関にご確認ください。
はじめの一歩 — 目的に合わせて基準を選ぶ
再生材の使用を「まず証明したい」段階ではRCS、「含有量の多さと工程の環境・社会配慮まで含めて示したい」段階ではGRSと、目的に応じた選択が現実的です。いずれも、社内の原料記録の整備とトレーサビリティ管理が出発点になります。包装で再生材を訴求する際は、こうした第三者基準を根拠として組み合わせることで、説得力のある環境コミュニケーションにつながります。
よくある質問
GRSとRCSの一番の違いは何ですか?
再生材(リサイクル材)の最低含有率と、対象範囲が異なります。RCSは再生材5%以上の含有を追跡・証明することに主眼を置き、GRSは50%以上を基本としつつ、化学物質の管理・環境負荷・労働環境といった社会的・環境的な要件も加わる、より包括的な基準です。
再生材を使っていることは、どう裏付けられますか?
両基準はContent Claim Standard(CCS)と呼ばれるトレーサビリティ(Chain of Custody)の仕組みを土台にしています。原料の投入から最終製品まで、認証された再生材が非再生材と混ざらず追跡・管理されていることを第三者機関が確認します。
GRS・RCSは繊維以外の包装材でも使えますか?
もともと繊維分野を中心に広がった基準ですが、対象は繊維に限定されず、再生材を含むさまざまな製品に適用が広がっています。包装分野でも、再生材含有をサプライチェーン全体で裏付ける枠組みとして参照されています。
含有率のパーセンテージは誰が決めるのですか?
最低含有率は基準(RCSは5%以上、GRSは50%以上が目安)で定められ、実際の含有率は投入原料の記録に基づいて算定・検証されます。表示できる含有率や表現は基準の規程に従う必要があります。